2014年も既に3ヶ月が経とうとしているけれど、なかなかいい本と巡り合えている。HONZで活動していた頃の積み残しなんかも、ゆっくりと読み進めていて、あの頃のおかげで自分の幅が広がったなあと痛感している。今更感をかなぐり捨てて、旧刊を手に取る頻度も増えてきて。
まあでも、読むペースは相変わらずで、なかなか上がらない。通読しようと思い過ぎているのかも。速読。乱読。拾い読み。色々と読み方はあるにせよ、娯楽としての読書において、あまりに効率ばかりを追求するのも本末転倒な感じがするので、ほどほどでいいのかも。
そんな訳で、この2ヶ月ほどで読んだ本から、お勧めの3冊を紹介したい。
まずは、国際社会における人道援助の現実に迫った衝撃的なノンフィクション。
人道援助というものを、ヒューマニズムだけで考えることは、もはやできない。人道という名目のもとで投入されたカネや援助物資が、結果的に内戦を助長・長期化させてしまうことがあるという冷酷な現実。あまりに悲劇的な歴史の実例。でも、目を背けてはいけないのだと思う。非常に考えさせられる1冊だというのは、間違いない。
本書にも、ある意味では『クライシス・キャラバン』が指摘する課題と同じような構造が垣間見える。書影にもあるように、原題は『Unfair Trade』。フェアトレードの制度設計が、必ずしも発展途上国の1次生産者を保護していないという現実を、様々な事例から検証していくノンフィクションだ。このこと自体は既に広く知られているものだと思うけれど、本書は単純なフェアトレード批判に終始している訳ではなく、幾つかの事例を通して、フェアネスのあるべき形を模索しようともしている。
9.11が変えたアメリカの安全保障。膨大な予算が最高機密情報網に惜しみなく投入され、誰もその全体像を把握できないほどの規模とスピードで、組織体系が膨張していく。「テロとの闘い」というある種の「錦の御旗」のもとで、運用が追いつかないことが自明にもかかわらず、その膨張に歯止めがかかることはない。「トップシークレット・アメリカ」は、何を守っているのか。いや、そもそも本当の意味で守れているのか。コストだけではない「制度としての欠陥」に、今更ながら驚かされる。