Showing posts with label アート. Show all posts
Showing posts with label アート. Show all posts

Saturday, April 19, 2014

到達する場所は、きっと違う。

アーティストになれる人、なれない人 (magazinehouse pocket)

  • 作者: 宮島 達男
  • 出版社: マガジンハウス
  • 発売日: 2013/9/24

  • 書店をふらついていたら、偶然目に留まった1冊。
    宮島達男×大竹伸朗とあったら、やっぱり買ってしまう。ほとんど知らない現代アートの世界にあって、以前からどことなく好きなんです。この2人の作品が。

    書籍としてのクオリティは、それほどでもないかもしれない。対談集というのは、基本的にやや散らかってしまうもので、致し方ない部分もあるかなと。
    ただ、大竹伸朗の素晴らしい言葉に出会えただけで、俺としては満足している。わずか1つのフレーズにこそ価値があるような書籍があっても、いいじゃないか。
     俺、そんな場所を目指してます。 

    人から何か言われてやめてしまうとしたら、そこまでだということです。(中略)ギターを弾くにしても、才能あるやつって2年もあればプロ級のレベルまで行っちゃうわけよ。ああいうのを見ると、才能って何なんだろうなっていうことを突きつけられてしまう。(中略)だけど、大事なことは、その『持って生まれたもの』がない人間でも、超えられるものっていうのがあると思うんだよね。『持って生まれたもの』がなかったとしても、もしそれを50年間弾き続けたら、才能あるやつが2年で行き着いた域とは違う場所に行き着くと思うんだ。

    Monday, August 13, 2012

    心を開く建築


    SHIGERU BAN




    • 作者: 坂 茂、undefined、坂 茂のAmazon著者ページを見る、検索結果、著者セントラルはこちら

    • 出版社: ファイドン (2005/06)

    • 発売日: 2005/06


    父はずっと自宅を事務所に建築設計士をしていた。
    約2年前に病気をして、右半身麻痺と言語障害が残ってしまい、今は車椅子。寂しいけれど、母が廃業の手続きをすることになった。
    言葉を失った父は今、考えていることを表現できない。
    ただ、何かを考えている。目がそう語っているからね。

    帰省する時に、何か気持ちが開くものを持っていこうと思った。
    モノに対する執着心が全くない人なので、ちょっと悩んだのだけれど、最終的に選んだのが本書だ。坂茂。紙や竹、布といった有機的な素材を用いた建築を数多く生み出してきた日本を代表する建築家の作品集だ。

    そうしたら、驚くほどの反応があった。
    分厚い作品集の頁を、多少ぎこちない左手で1枚ずつ繰って、本当に食い入るように坂茂の建築を見つめていた。その姿を見ていて、父の好奇心が全くもって枯れていないということが、はっきりと分かった。

    坂茂の建築は、俺も好きだ。自分が好きだから選んだということもある。
    建築を生業とした親に育てられながら、建築を表現する言葉を持っていないことが本当に情けないけれど、坂茂の建築は、現代的でありながら、冷たくない感じがする。クールすぎないというのかな。寂しくない。包装された状態で、中身を確認せずに買った1冊だけれど、素晴らしい内容で本当に嬉しかった。

    実は、横浜の自宅にも置いておきたくなったくらいです。

    Sunday, July 22, 2012

    「奈良美智:君や僕にちょっと似ている」

    久しぶりに美術館に行ってきた。
    「奈良美智:君や僕にちょっと似ている」@横浜美術館。
    http://www.nara2012-13.org/exhibition/

    素直に、とても良かった。「あれ、マヒロちゃんに似てるよね」とか「いやいや、ハンナには全然似てないよ(笑)」とか言いながら、肩肘張らずに作品を楽しめて。

    奈良美智さんの描くキャラクターは、どれもがかわいい訳ではないと思うのだけれど、確かにぐっと惹きつけるものがあるよね。ちょっとした崩れや小さな歪みなんかも、観る側をそわそわさせるものではなくて、ある種の愛嬌になっていて。
    率直な感想として、デッサンやラフスケッチの展示はさほどでもないかなと思ってしまったところもあるけれど、完成されたアクリル画の数々は、やはり素晴らしかった。

    会場もそんなに混んでいなくて、展示も十分な数があって、見応えのある展覧会だと思う。まあでも、本音を言ってしまうと、奈良美智さんのようなタイプのアートは、もっとくだけた愉しみ方でもいいような気はするかな。美術館って、皆が押し黙って作品を鑑賞して、感想を言葉にするにも声を潜めなければいけないような雰囲気があるけれど、もっと気楽に、格調を求めずに観ることができれば、より愉しいかもしれないなあと思ったりもする。「アタシの若い頃は、まあこんな感じよね」みたいな明るいジョークが会場に満ち溢れるような感じがいいよなあ、なんて。

    ちなみに、常設展もざっと観たのだけれど、こちらもかなり良いです。
    写真の展示も結構な数があるのだけれど、木村伊兵衛や土門拳の撮ったポートレート作品なんかはかなり楽しめます。上村松園、川合玉堂、中川一政、藤田嗣治といった凄い顔ぶれは、時代の迫力を感じさせてくれます。

    Monday, September 14, 2009

    SKIP

    ちなみに。
    カミナリグモのライブで1曲だけ、カバーがあったんだ。
    ギター1本での弾き語りだったのだけれど、本当に素晴らしかった。
    TOMOVSKY "SKIP"

    「なんにもしてないくせに 無敵になってた」

    最初のワンフレーズで、もうやられていた。
    聴いてみてください。カミナリグモ・バージョンとはかなり違う印象だけれど。
    とにかくオリジナルを、聴いてみてほしいです。

    three waves make "flat"

    高校時代からの友達の誘いで行った下北沢のライブは、素晴らしかった。

    カミナリグモ
    「夕立のにおい」レコ発 ワンマンライブ(ツアーファイナル)@下北沢CLUB Que
    http://www.kaminarigumo.com/pc/index.html

    友達が彼らのPVを撮っていなければ知ることのなかったカミナリグモ。
    3人のメンバーそれぞれに色があって、それがすとんと収まる。
    そう、収まりがいいんだ。
    不協和音のない、擦れる音ひとつしないパズルのピースが揃ったような。
    なんだか不思議な吸引力を持っているバンドだった。
    つまりは、とても惹かれてしまった。
    ワンマンライブという出会い方も、とても刺激的だった。一方的な出会いだけれど。

    オープニングから心を掴まれた。
    初めて出会ったバンドなので、勿論タイトルさえ知らない。1曲も知らないのだから。
    でも、良かった。
    この1曲目を聴いた瞬間に浮かんだイメージがあるんだ。
    音とはつまり波だとするならば、3つの異なる波が重なる特別な瞬間に、それぞれの波長がピタリと揃って、flatな世界ができあがる、そんなイメージ。

    その"flat"こそが、きっと彼らの透明感なのかなと思いながら聴いていた。
    他のバンドにはない特別な透明感のあるボーカルは、バンドとしてのサウンドが調和されることで、よりクリアな、より綺麗なものになっていく。きっと彼らの生命線たる「声」そのものを、最も澄んだものにするために、全ての音がある。

    多少大袈裟かもしれないけれど、本当にそんな感じだったんだ。

    いつか名古屋でライブがあれば、また行きたい。
    ステージの温度を感じるくらいの広すぎないライブハウスで、ビールを飲み干して空になった右手の紙コップが音で震えるのを感じながら、また彼らの曲を聴きたい。
    PVを撮った大切な友達に感謝して。
    http://www.youtube.com/watch?v=eB6g9w6rQjs

    Tuesday, September 01, 2009

    ステンドグラス

    パートナーがまた新しいことを始めた。
    子供が産まれて、自由に絵も描く余裕もない日々だけれど、とにかく始めてみようと。
    それは、ステンドグラス。

    インターネットでキットを購入して、必要な工具を片手に付属DVDで基本的な製作のプロセスを確認して、悪戦苦闘しながらも、小さな壁掛けの鏡が完成した。
    基本的なスタンスとして、パートナーは「反キット」的ではあるのだけれど、たとえキットであっても、出来上がった鏡はやはり「作品」だから、嬉しそうだった。
    グリーンを基調とした初めてのステンドグラスは煩くないデザインで、1日をスタートするために毎朝必ず通る玄関という場所には、なかなか収まりが良い感じです。

    それにしても、ステンドグラス職人というのは完全に凄いね。
    パートナーの試行錯誤を傍で見ていると、「ガラスをカットする」というただそれだけのことが、はっきりと「技術」なのだと感じる。カットしたガラスピースは、はんだで繋ぎ合わせていくのだけれど、これがまた難しい。はんだ付けは、おれも少しだけやってみた。中学校の技術科で習ったのが最初で最後だったので、もう約20年振りのはんだ作業ということになるけれど、技術科で習うのはあくまで工作プロセスであって、当然ながら「美」は問われない。でも、ステンドグラスにおけるはんだは、当然ながら作品の「貌」の一部であって、ガラスの美を殺さず、むしろ映えさせることが要求される。盛り上がりが「かまぼこ型」の綺麗なカーブを形成し、かつ燃え滓のような不純物の混入も、極力排除しなければいけない。

    欧州を旅することがあれば、本物のステンドグラスを是非とも観たい。
    繊細にして大胆、多彩で多様な光を放つアートを創った古の職人を想像して。

    Wednesday, August 05, 2009

    写真集

    楽しみにしていた写真集が、本日自宅に届いた。
    diane arbus "An Aperture Monograph"

    Robert Frank "The Americans"も一緒に欲しかったけど、今回はお預けにした。
    2枚組のCDを買うと、2枚目は意外と聴かなかったりするからね。

    それにしても、あまりにも有名なカバー写真。
    紐解く前から、言葉にならない存在感が溢れている。
    モノとしての写真集には、photo storageに還元されない魅力があるんです。

    今日はもう遅いので、明日ゆっくりと封を切ろう。
    そして、感想をこの場に書き留めよう。