Friday, April 05, 2019

勝手に事業部通信 Vol.10 (4/5/19)

早く着きたいなら1人で行きなさい。遠くまで行きたいなら、みんなで行きなさい。
ー アフリカの諺

慌ただしかった1Qもあっという間に終わり、もう4月。新元号も発表されて、日本全体がフレッシュな心で新たな日常へと向かっていく中で、もはやタイムリーな話ではないのですが、遡ること2週間ほど前の3月下旬、6歳になるうちの子が幼稚園を卒園したんです。もちろん休暇を取って卒園式に参加したのですが、なかなか楽しい幼稚園で、子ども達からの歌の発表があったり、保護者と先生方で一緒に作り上げた劇があったりとコンテンツの充実度は驚きのレベルでした。
ただ、個人的に心に沁みたのは、式次第を一通り終えて、子ども達が自分の教室に戻ってから、担任の先生がプレゼントしてくれた「最後の読み聞かせ」だったんですよね。
『そらのいろって』(ピーター・レイノルズ作画、なかがわちひろ訳)という絵本、皆さんはご存知ですか。クラスのみんなで図書館の壁に絵を描くことになって、どうしても「空を描きたい」と思ったマリソルが絵の具箱を見ると、青がなかったというお話です。

良質の絵本を教訓で読んでしまったら本当につまらないのですが、空の色はもっと自由に見てもいいんだよ、というのが当然ながらよく語られるメッセージで。
でも、本当にいいなと思うのは、その後なんですよね。
「マリソルは絵の具を筆でかきまぜて、全く新しい色を作った。」という一節が、もう本当に堪らない。思わず感じ入ってしまった私は、「いつか書かなければ」と勝手に思っていました。

自由に考えよう。固定観念に囚われず、大胆に発想しよう。
どことなく閉塞感がないとも言えない時代にあって、テクノロジーに求められるものも堅牢性と信頼性から変革/改革 (Disruption / Transformation) へとシフトする中で、こういうメッセージが声高に語られることが増えてきています。IBMらしい言葉だと、"Think Big, Think Bold" といった感じですよね。

でも、自由に考えればいいと言われても、どこから考えればいいか分からない。固定観念を捨てようと言われても、どこまでが固定観念でどこから社会常識なのか、実は自分自身でもよく分かっていない。
それが人間だったりするんじゃないかと思うこと、ないでしょうか。斬新なアイデアとか、誰も思いつかなかったようなコンセプトとか、そんなの近くに転がってないよって。
もっと身近なところでも、日常の営業活動や1つひとつのご提案、Account Planningのような場面を思い返してみても、「自由な発想で」なんて言われることの方がむしろ重荷だったりすることも、あったりなかったりで。

なんて、どのみち行き場のない思いだと分かっていながら、とりとめもなくそんなことを考えている金曜日の夜に、もしかするとあの絵本はヒントをくれるのかなと思ったりもするんです。
新しい色を作るには、かきまぜてみるのがいいのかなと。
自分の色は変わってなくても、出来上がりの色は新しい色になっている訳ですから。
1人で考えていたら、誰にブレーキを踏まれることもなくどこか自由なように感じるけれど、本当は他者の意見や性格、こだわりや執着のような一見すると「制約」に見えてしまうものをブレンドした方が、アウトプットはむしろ自由なのかなと。

これだけ多様なメンバーが揃ったチームなので、週明けからもまた続いていく日常業務の至る場面で「混ざる機会」は溢れているのだと思います。そう言いながら、私自身さほど社交的でもなくて、無駄に気を使って声をかけられないとかも(一応)あったりで、何かを大上段から言える訳でも、言うつもりもないのですが、いつもよりもう一歩だけ、自分から混ざってみたり、小さな瞬間にメールではなくて電話で声のやり取りをしたり、そんなところからも「チーム全体の発想力」は少しずつ変わっていくのかもしれないですよね。

4月。新たな仲間として、新入社員の内田さんも事業部メンバーに加わってくれたので、皆でやり取りをして、混ざっていけるといいかなと思います。
絵の具箱に今までなかった色が、1つ増えたのですから。