Monday, July 04, 2011

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長谷部誠著『心を整える。』(幻冬舎)、読了。
http://p.tl/ndeR

サッカーW杯南アフリカ大会で日本代表のゲームキャプテンを務めた長谷部選手。
そのサッカーへの熱意、プロフェッショナルとしての拘り、自身の持ち味を最大限に生かすための工夫、そして心のあり方。そういったものが、素直に綴られている。

目次をざっと読むだけで、何度も首肯してしまう。
アスリートとしてのレベルも拘り方も全く異なるけれど、自分自身がずっとラグビーを続けてきた中での感覚を思い浮かべながら読んでみて、「そうだよなぁ」と素直に心に沁み込んでくるメッセージが多かった。勿論、人間性はそれぞれなので、長谷部選手のスタイルが合う人もいれば、そうでない人もいるだろうけれど。

ただ、アスリートとして「パフォーマンス」に対する意識が徹底していて、全くブレがないのは、それだけでも素晴らしいことだと思う。諸々全てを「自分に紐付けて」考えている点も、とても気持ちの良い姿勢だよね。

書かれているポイントは、スポーツをする人間には非常に分かりやすい。
でも、ここで思うんだよね。
プロフェッショナルを目指すのは、ビジネスも同じだろう、って。
ビジネスだけじゃない。1人の人間として、結果に責任を負う生き方を志すならば、結局のところ目指すものは同じなんじゃないか、って。

譲れない一線を、どこに引くか。
長谷部選手はそれを、「プロフェッショナル」という一点に定めたのだと思います。
「心を整える」という表題は、彼にとってそれこそがプロフェッショナルであり続けるための必須条件だったからだと、俺はそう解釈しています。

だから必要なのは、きっとノウハウじゃない。
本当に必要なのは、自分自身の生き方に求めるスタンダードなんです。


今、必要なこと。

この週末で、東大ラグビー部/名古屋大ラグビー部共に、春シーズンを終了した。
東大ラグビー部は、東北大との定期戦に敗れてしまい、やや残念な終わり方になってしまったみたい。ビデオできちんと確認してみないと。残された時間は少ないからね。

名古屋大ラグビー部は、7/2(土)に南山大とのゲームがあった。
下級生主体で臨んだ春シーズンの最終戦は、45-26で勝つことができました。
特に失点の仕方がやや淡白だったのは残念だったけれど、収穫もあったかな。

試合終了後、学生に話したんだ。
「開幕当初に想像していた7月のレベルと、今日現在の自分達のレベルを比較するならば、どこまで到達しているのかな」って。

「目標にしてきた継続プレーが出来るようになってきた部分はあります。
でも、まだ足りない部分も多いと思ってます。」
キャプテンは、率直にそう答えてくれた。

悪くない。成長の実感も、課題意識も、素直に出てきたものだと思う。
でもね、本当はもっと丁寧に考えたいポイントなんだ。
「それで、今のペースをキープしていけば、『A2リーグ全勝/A1リーグ昇格』という年初に掲げたチーム目標には、揺るぎない自信を持って向かっていけますか」
俺が聞きたいのはただ一点、これだけなんです。

目標とのギャップや、今現在の自分達の立ち位置を、厳密に見据えること。
それはとても知性的な営みで、そして東大/名古屋大の双方に、今最も必要なこと。
ギャップを明確にしなければ、行動につなげることができない。
そしてここが重要なのだけれど、ギャップ認識が多少ずれていたとしても、それはそれで構わない。自分達が考え抜いた末に導いた結論と心中できるならば、それは合理性よりもきっと強い。心中できるほどの信念は、簡単には折れないからね。

ただ、コーチとしては今が勝負です。
もちろんそれは、学生との勝負。
俺には俺の信念があるので、ぶつけ合いをしないとね。
学生の思考には、本気と覚悟を要求するつもり。こちらも考え抜くつもりなので。