Monday, July 08, 2013

プログラムの背景

ちょっと遅くなってしまったけれど、先日開催された社員研修@横浜のことを。

7月4日(木)、5日(金)の2日間、約4,000人の社員が参加した大規模なプログラムが催された。基本的には研修なのだけれど、感覚的には「イベント」といった方が近いかもしれない。まあ、なかなかの規模だった。膨大なコンテンツがすべて英語だったこともあって、参加する側としても正直かなり疲れたけれど、これくらいの規模になってくると運営側も相当大変だったのではないかと思う。2日間、朝から晩まで各方面に気を廻し続けて、おそらく研修に参加した社員以上にキツイ時間だったはずだ。こうした縁の下を支えてくれる人たちの存在があって、初めて社員は成長の機会を与えられる訳で、まずは何よりも感謝したい。

4,000人の社員が、2日間にわたって英語で研修を受ける。
チーム単位でのワークショップでも、英語で資料を作成する。
ランダムに選ばれたチームは、5分程度のプレゼンテーションをする。もちろん英語で。
初日、2日目共に、エグゼクティブやら特定の分野の専門家やらの講演をひたすら聴く。
もはやイングリッシュ・シャワーの世界だ。
さて、研修効率としてはどうだろうか。

考えるまでもなく、低いに決まっている。外資系とはいえ、研修効率を全く阻害しないレベルの英語力を備えている社員なんて、ほんの一握りしかいない。コンテンツに対する理解を深めて、短期的にスキルアップを図るならば、すべて日本語の方が圧倒的に効率的だ。プレゼンテーションにしても、そもそも日常業務で英語を使う機会が一切ないような人にとっては、ワークショップの充実度など全く関係なく、ただの英語プレゼン実習になってしまう。スキルアップも何も、あったものじゃない。

私自身、この2日間で聴いたスピーチについて、どこまで理解できているかと問われると、正直、全く自信がない。ネイティブ・スピーカーは日本人の英語力を基本的に信頼していないはずなので、かなり配慮してゆっくり話してくれているのは間違いないのに、それでもきちんと聴き取れないって、ちょっとマズイよなあと思ってしまった。(大きな声では言えないが、ところどころ睡眠学習になってしまったのも事実だ。)

そもそも、英語/日本語を問わず、2日程度でスキルは劇的に上がらない。
もちろん、対象を絞り込んで、現状のレベルに応じたベストフィットのプログラムを組めば、2日間で得られる効果はもっと高いのかもしれない。でも、今回の研修参加者は4,000人。要するにマスが対象だ。4,000人の集団全体が、2日間でぐんと一段レベルアップするというのは、なかなか想像しづらいシチュエーションだ。もちろん、それでもやり方はあるのかもしれないけれど。


でも、そんなことは主催者側(つまり会社)も分かっているはずなんだ。
最初から、今回のプログラムでマスが劇的に変わるなんて思っていない。それでもすべて英語の研修を4,000人規模で実施しなければならないと考えた理由があるはずで、そこを掘り下げておかないと、自分自身にとって、今回の研修の意味が相当に薄まってしまうような気がする。

プログラムのあり方を云々するのは簡単なのだけれど、ゼロから考えるのは難しい。
「じゃあ、やってみろよ。4,000人のスキルに変革を起こすために、オマエは何をプランできるんだよ」と言われて、対案を出せない時点で、ただの居酒屋トークになってしまいそうだ。

そんな訳で、横浜線に揺られての帰り道は、つらつらと対案を考えながら。
そして、実際にやってみると、これがなかなか難しいのです。