11月4日(土)、ある写真展を観に行ってきた。
江戸東京博物館で開催されている荒木経惟さんの回顧展『東京人生』ね。
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/about/josetsu/dai2/2006/1017/1017.html
感動した。
「シャッターを切る」という単純で誰にでも出来る行為の結末が、何故これほど違うのだろうと、何度となく息を呑んでしまった。持っている幾つかの写真集に収められている作品も何点かあったけれど、回顧展という全体のなかに位置づけられることによって、それぞれの作品がまた違った面持ちを浮かべていて、新鮮であり、作品の魅力を再発見したような感覚だった。
以前にも書いたけれど、荒木経惟という人は、とてもやさしいのだと思う。
写真を観ていると、対象との抜群の距離感が伝わってくるんだ。
ぬくもりとやさしさ、そして生まれ持った親近感をもって、すっと相手との心の距離をすり寄せていくような、アラーキーの人間的な暖かさを、どの写真からも感じ取ることが出来る。当然会ったことも話したこともないわけで、全ては作品からの勝手な想像にすぎないけれど、それでもどうしたってそう思ってしまう。そして、魅力的な写真の数々を観ているうちに、やがて自分自身の内面にベクトルが向いていく。すぐに自分の殻に閉じこもって、相手との距離感をつめていけない自分の弱さに対して、強烈なメッセージというか、変わるための最初の一歩への励ましをもらっているような気がして、うれしさと、人のあたたかさと、むずがゆさとが織り混ざったような気持ちになるんだ。
紛れもなく天才。
自らを「写神」といって憚らないそのバイタリティと想像力は、感動的です。