Monday, February 26, 2007

『不都合な真実』

昨日のことだけれど、アル・ゴア米国元副大統領と地球温暖化をテーマにしたドキュメンタリー映画『不都合な真実』を鑑賞した。場所は、TOHOシネマズ六本木ヒルズ。
http://www.futsugou.jp/

良い映画だったと思う。
正直に言うと、ちょっと泣けたかな。

地球温暖化への警鐘という意味では、特別に新しいメッセージはなかったのかもしれない。非常に巧みで魅力的なアル・ゴアのプレゼンテーションは、観る人間の心に訴えるものがあるが、そこで語られている内容は、多くの人間にとって、既にある程度認識している事実ではないかと思う。もちろん、実際に世界中で起こっている異常気象や氷床の溶解、干上がった湖沼の映像を突きつけられると、その傷跡の大きさであったり、問題の重要性といったことに、改めて気づかされるのだけれど。

でも、そういうことではないんだ。
この映画において、心を打つもの。それは、アル・ゴアという人間の信念。
「もう手遅れでは?」という懐疑派に応じたゴアの言葉がとても印象的だった。

「否定」はいつの間にか「絶望」へと飛躍してしまう。

彼は絶望しない。自分自身の信念に対して率直であり、常に自分が「今すべきこと」という現在の視点で語っている。地球規模の問題、大多数の人間にとって「自分自身の問題」として考えることが困難な問題に対して、あれほどストレートに、強い信念を持ってコミットメントを果たしていく、その姿こそが、本当に感動的なのだと思う。

映画の終幕において、スクリーンに浮かび上がる言葉も素晴らしい。
誰の言葉だったか忘れてしまったけれど。

あなたが祈りを信じるならば、人々が変わる勇気を持てることを祈ろう。

Sunday, February 25, 2007

新しいシーズン

日本選手権1回戦で関東学院大に敗れてから約1ヶ月。
多くのチームが、2007-2008の新たなシーズンをスタートさせている。

さて、今シーズン。
昨シーズンの終了直後から色々と悩み、考えた末の結論として、東大ラグビー部のコーチをすることを決断した。タマリバクラブでのプレーは今季は出来なくなるけれど、今までとは違う立場で、コーチとしてラグビーに向き合っていくことは、自分自身にとっても非常に良いチャンスだと思ったし、自分を育ててくれた東大ラグビー部に対する恩返しの思いもあって、コーチングに挑戦することを選択した。

タマリバの仲間にはとても申し訳なく思っているし、今シーズン一緒にプレー出来ないのはちょっと寂しいけれど、おれにとってこの1年間は、新たな経験を積んで、自分を成長させるチャンスに満ちた1年になると思っているし、そうしなければいけない。
「現役は今しか出来ない」というのは紛れもない真実だけれど、「今」コーチをする、という経験だって、今しか出来ないからね。決して無駄になんてしない。

コーチは本当に初めての経験なので、正直に言って分からないことばかりだ。
でも、コーチングを受けた経験はある。
三笠監督は「自分はコーチングを受けた経験がない」と言っていたけれど、東大ラグビー部OBの大半は三笠監督と同じような環境で学生時代を過ごしているのだろう。そういう意味では、水上さんという素晴らしい指導者に巡り会った平成11年卒以降の世代は、このチームにおいて、極めて恵まれた経験をしているのだと思う。
水上さんに出会ったことで、自分自身の人生は全く違うものになった。水上さんへの感謝は、言葉には尽くせない。ラグビーというスポーツの見方・捉え方のベースは今でも水上さんの発想がベースになっているし、何よりラグビーを通じて、ラグビーという世界に閉じていない、本当に多くの大切なことを教えてもらった。

その大切な経験を、少しでも東大ラグビー部に還元すること。
それが、この1年間の目標になります。
学生の為に出来ることに全力で取り組んで、チームを強くしていきたい。
その過程で、学生に成長の舞台を作ってあげたいし、自分自身も成長していきたい。
前途は、多難だけどね。

Tuesday, February 20, 2007

流花展 acrylic and pastel

ちょっとした宣伝を。
パートナーが初の「個展」を開催します。
高田馬場のCafeに、彼女が描いた作品が幾つか展示されます。
ちょっとした時間があれば、是非Ben's Cafeに珈琲を飲みに来てください。
店内の壁に架けられた絵を、ちらっと見渡しに来てみてください。

~流花展~
会期:2007.3.3(土)~2007.3.16(金)
日~木 11:30-23:30、金・土 11:30-24:30

会場:Ben's Cafe
Tel/Fax 03-3202-2445
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-29-21
http://www.benscafe.com/ja/index.html

Wednesday, February 14, 2007

権利と感謝

2月12日(月)トップリーグ入替戦(12:00K.O.@秩父宮ラグビー場)
日本IBMビッグブルー 29-29 近鉄ライナーズ

IBMにとっては、本当に崖っぷちから手繰り寄せた引き分けだった。
後半の試合展開は完全に相手のペースだったし、傍からみれば、自分たちの流れをつかむ「きっかけ」は幾つかあったはずなのに、それを自ら潰してしまって、焦燥の深みに飲み込まれていったような印象で、限りなく負けに近い引き分けだったのかもしれない。
でも、本当に良かったよね。
後半41分に最後の同点トライをもぎ取った執念と意地が、やっぱり良かった。
入替戦は結果がすべてだから。

クラブチームでラグビーを続けていると、気づかされることが幾つもあるのだけれど、昨日の試合を観て、試合後に多くの関係者や昔の仲間と話して、頭をよぎったのは「権利」と「感謝」ということだった。
トップリーグの一角であり続ける、ということは「権利」だと思う。その価値は、言葉にするまでもない。国内最高峰のリーグで、秩父宮の観衆の前で、トップレベルへの挑戦ができることの魅力は、そこらに転がっているようなものでは決してないからね。でも、権利はただでは手に入らない。与えられるものではなくて、手にするものだ。そして、それはひとりで勝ち取るものではなくて、あるいはプレーヤーだけで勝ち取るものではなくて、その背後にはとても多くの人のサポートがあるのだと思う。当たり前のことだけれど。
トップリーグという「権利」は、誰しもが手に出来るものじゃない。そして、それを支援してくれるスタッフやサポーターの厚みや深み、優しさと熱意も、誰もが享受できるものじゃない。

だから、選手はきっと、みんな幸せだろうなーと思って。
なにひとつ、当たり前のものなんてないのだから。

今シーズン、お疲れ様でした。
ラグビーは、やっぱり最高におもしろいね。

Tuesday, February 06, 2007

「不安」について

この2週間ほど、著作を読んだり映像作品に触れたりしながら、いろいろと考えごとをしている。自分自身の頭の中が整理できていないけれど、「不安」というのがひとつのキーワードかなと思う。
不安と恐怖は違う。人は具体的な対象に対して恐怖する。不安はむしろ、対象がないことで惹起される。先が見えない。自分を脅かすものの存在を量れない。寄って立つに足る絶対的な価値観が成立しない。そういう状況において、「不安」の空気が社会全体にゆっくりと、でも確かに蔓延していく。
そういう状況下にある社会において、その病理を象徴するような事象があったり、今この瞬間にも進行している様々な問題があったりするのだけれど、その事実に対して、自分が如何に無頓着に生きてきたのかということを、こうした作品に接するたびに痛感せざるを得ない。

[著作]
森達也『ぼくはいくじなしと、ここに宣言する』(青土社)
森達也『日本国憲法』(太田出版)
辺見庸『不安の世紀から』(角川文庫)

[映像作品]
森達也監督作品『A』

個々の作品の感想は、別途まとめてみたい。
辺見庸さんの著作は久しぶりに読んだけれど、非常に刺激的な対談集だった。
オウム真理教の広報副部長である荒木浩さんを中心に、オウムの内側から一連の事件を問い直した森達也さんの映像作品『A』は、一見の価値が十分にあると思う。映像作品としてのセンスは脇に置いておくとして、ドキュメンタリーと客観性、いわゆる正義というものを見つめ直すうえで、示唆に富んだシーンが幾つもあった。1995年、もう10年以上も前の事件だけれど、少なくともおれにとっては、今改めて観る、その必要性を感じられる作品だった。

ラストゲーム

久しぶりの更新。

タマリバクラブの2006-2007シーズンが終わった。

2007年2月3日(土)日本選手権1回戦
タマリバクラブ 17-47 関東学院大学(14:00K.O. @秩父宮ラグビー場)

自分自身の出番はなかった。
ベンチに入ることもなく、メインスタンドで応援していた。
昨年の高村の決意表明を思い出すよね。
「一年間、ちゃんと自分と戦った22人。それが出来なかったその他大勢。」
自分自身の弱い部分ばかりが浮き彫りになって、泥沼にはまり込んで、なんとかしようともがいてみるのだけれど、自分を変えることが出来ないままに終わってしまった、そんな1年間だった。

関東学院大とのゲームは、悔しい結果ではあったけれど、とても良いゲームだったと思う。試合後の打上げで、当然のことのように、考えるまでもなく自然と言葉が流れ出てくるような感じで「明日から」と口にした康治さんが、とても印象的だった。

それから。
チームの運営を支えてくれたスタッフやトレーナーの皆さん。ゲームに出られなくても、気にかけて応援してくださった皆様。驚異の鍼師、小林先生。グラウンドを提供してくれた東大ラグビー部。そしてもちろん、家族。
この1年間を支えてくれた多くの人たちに。
本当にありがとうございました。