『青き闘球部 東京朝鮮高校ラグビー部の目指すノーサイド』(李淳馹著)、読了。
ノンフィクションとして素晴らしい作品だった。
「素晴らしい」と表記してしまうのが適切かどうか分からないけれど。
東京朝鮮高校ラグビー部は、いまだ花園への出場経験はない。
でも、自分達が生まれた頃には、そもそも花園予選への参加資格さえなかった。
そんな東京朝鮮高校ラグビー部の物語。
監督の申鉉秀さんを中心として、様々な想いを持った人間がラグビーというスポーツを通じて繋がっていき、日本の社会全体の変化の流れと相まって、ほんの小さなものだった可能性の芽が、少しずつ伸びていく。
特別なことをしている訳ではなくて、想いが特別なんだね。
特別に強い魂を持っているからこそ、彼らは今の舞台まで辿り着いたのだと思う。
東京朝鮮高校ラグビー部のグラウンドには、1度だけ足を運んだことがある。
タマリバ時代に高麗クラブとの合同練習があったんだ。
東京朝鮮高校ラグビー部の生徒には、その日の練習後に簡単なコーチングをした。
バックスのラインアタックをみていて、パスが上手いなあと感じたのを覚えている。
あの時の高校生にも、きっと沢山の想いがあるんだね。
いつかきっと訪れるであろう、東京代表として彼らが花園ラグビー場に辿り着く日が、また新しい東京朝鮮高校ラグビー部のステップになっていくことを願うばかりだ。
金元樹という保護観察中の少年のエピソードがある。
彼はラグビーと出会って、当初の予定よりも早く保護観察が解除されることになる。
この少年のエピソードが、おれは一番好きです。
ラグビーって、素晴らしいね。