Saturday, July 19, 2008

コーチング・コース#2

前回のコメントが誤解を招いてしまったようで・・・。
名古屋開催コースの運営をしてくださったある方から丁寧なメールを頂いた。
暑い中、ワラタスのコーチング・スタッフを日本に招待いただき、当日の運営にご尽力いただいた方にとって、自分の書き方は気分を害するものだったかもしれない。
そのことは、本当に申し訳なく思っています。
また今更ですが、当日は本当にありがとうございました。


豪州ファンデーション(レベル1)コースを受講して感じたことを、改めて纏めたい。
小寺さんがコメントをくれたように、コースの内容は「ベーシック」そのものだった。
パス、キャッチ、ラン、コンタクトといったIndividual Skillに加えて、ラック/モールやスクラム、ラインアウト等のUnit Skill、リスタート(キックオフ/ドロップアウト)やチーム・アタックなどのTeam Skill、更にはルールの理解やコーチングの基礎理念まで網羅的にカバーした内容で、1日という限られた時間の中で可能な限り、ラグビーの全ての構成要素を「ベーシック」という切り口で捉え直すことが目的のコースだ。

目新しいことは多くない、と前回のコメントに書いた。
(厳密には幾つかあるのだけれど、詳細まではここでは書かない。)
ただ、そのことに不満を感じた訳でも、意義を感じなかった訳でもない。
むしろ、ベーシックとは本来そういうものだと思う。
例えば、社会人ラグビー時代に豪州ワラタスのコーチが練習に来てくださったことがあるけれど、その時の指導内容は、今回のコースと極めて高い類似性があった。
様々な環境で15年近くラグビーをしていると、様々な出会いがあるからね。

本当は「目新しさ」が重要な訳ではないんだ。
目新しさに無批判に溺れてしまうことの方が、遥かに危険だから。
「基礎を徹底する」ということは、精度/正確性にこだわることであり、プレッシャー下においてもぶれないスキル・レベルにまで落とし込むことだと思う。
それは、目新しさとは正反対のもので、地道で、持続的なものなのだと思う。
その意味では、豪州ワラタスのコーチング・スタッフの姿勢には敬服する他ない。
基礎への徹底と、その熱意は本当に素晴らしかった。
今回のコースの最大の意義は、この点にこそあるのだと思う。

今回のコースを経て、自分が考えているのは、その手前なのかもしれない。
「ベーシック」というものにも、取捨選択があるのではないか、ということなんだ。
チームが異なれば、選手のレベルも置かれた環境も異なる。
民族が異なれば、身体特性も心理的な特徴も全く異なる。
更に言えば、ラグビーと向き合う理由だって、人それぞれ異なる。
その時、ラグビーにおいて志向する「ベーシック」にも差異はあるんじゃないか。
勿論、普遍的なものだってあるだろう。
結局、ラグビーであることは変わらないのだから。
でも一方で、それぞれのチームにとって、選択的なものや、可変的なものがあっても良いのではないかと、おれは思うんだ。
徹底するベーシックには、水準と順序があるような気がするんです。
そして、あるチームにとっては、より大胆な選択もあり得るような気がするんです。

今回のコースを最大限に生かす為にも、ベーシックを忘れてはいけない。
彼等のベーシックへの姿勢を忘れずに、チームに落とし込むのがコーチの役割だ。
でもその前に、立ち止まって考えてみることが大切だと思うんだ。
何故それがベーシックなのか、って。