最近、社内のタスクで経営層への施策提言を考えている。10人で議論して、年末に最終報告なのだけれど、なかなか難しい。
1万人規模の組織によい影響を与える変革というのは、どういうものだろう。50人の組織に対するアプローチとは、明らかに違うだろう。1万人となれば、もはやマスだからだ。
マスに対する施策を考えると、ふとした瞬間に「どこにでもいそうだけれど、実はどこにも存在しない誰か」への施策になってしまいそうな違和感が頭をかすめる。「会社に対するロイヤリティが低く、業務知識やスキルも不足しているものの、グローバルビジネスに対する意欲はあって、社内でのチーミングには悪戦苦闘しつつ取り組んでいるが、結局は短期の売上目標に縛られてしまい、大きな目線での仕事に時間を割けない」、そんな個人ってつまりは誰なんですか、みたいな感じだ。要するに、顔が浮かばない。1万人規模になると、具体的な特定の個人をイメージして施策をまとめるのはさすがに難しいけれど、もう少し丁寧なセグメンテーションが必要かもしれない。
パレートの法則でいえば、上位20%の人間と、その他の80%の人間では、抱いている課題も組織への依存度も全く異なるように思う。この差をきちんと意識しておかないと、結果的にはどちらの層にとってもフィット感のない中途半端な施策になってしまうような気がしている。
一方で、やはり最後は「人」だろうという見方もできる。トップの交替が劇的な変革をもたらした大企業の事例は枚挙に暇がない。
これはきっと50人の組織とも共通するポイントで、結局のところ「熱は伝播する」ということだろう。熱を持ったリーダーの存在が、組織全体を活性化させるのは間違いない。必ずしも組織のトップでなくとも、様々なレイヤーにそれぞれのリーダーがいればいい。ただ、一点思うのは、リーダーにとって、スキルもさることながら、熱の方がより重要なのではないかということだ。
1万人規模の組織を考えると、業務上の様々な課題に対するスキルパーソンは、きっとどこかにはいるだろう。要するに、課題に直面した時に、最も適切なスキルパーソンを探り当てることができれば、リーダーにとって「スキルは代替してもらえる」ということになる。探り当てるためのある程度の仕組みは必要だと思うけれど。
本当の課題は、その先だと思うんだ。
「そいつを本気にさせられますか。」
今リーダーは、そう問われている気がしてならない。周囲を本気にさせる熱を持たなければ、どれほど見事な仕組みがあっても飾り物でしかない。仕組みそのものよりも、仕組みに魂を入れることに、組織としてもっと向き合う必要があるのかもしれない。
そう考えていくと、真の課題は「20%のリーダーさえ、さほど熱を持っていない」、あるいは「持っている熱をうまく表出できない組織風土がある」ということなのかもしれない。
これは、シビアな課題だよね。
20%をまさしく「本気」にさせる施策というように、絞り込んで考えてみようかな。
もちろん、本気で。