Monday, March 06, 2006

長谷川潔

長谷川潔という銅版画家がいる。
ちょっとした経緯があって気になっていた作家なのだけれど、タイミングよくNHKの「日曜美術館」で取り上げてくれたので、20:00からの再放送を自宅で見たんだ。

おれの感想を一言で言うなら「静謐」。静かすぎるほどに静かだ。
静物画と呼ばれる作品は巷に多数あるけれど、これほどまでに静かな作品世界を創り上げた作家は少ないのではないかと思う。そしてその世界観は、どこかはかない。
例えば、ひとつの林檎を描くとする。林檎の表面には艶やかさがあり、自然が創り出すカーブには生命力が溢れており、きっと表皮の内側には瑞々しさがある。
長谷川潔の作品は、違う。
生命を泥臭く捉えるのではなくて、ひとつの「理」と捉える独特の感覚に満ちている。
洗練され研ぎ澄まされた感性で、理をひとつずつ切り抜いていくような、その独特の雰囲気がとても興味深く、魅力的だと感じた。

横浜美術館で「長谷川潔展」が行われているそうなので、行ってみようかな。
http://www.yma.city.yokohama.jp/