Sunday, May 13, 2012
『日本の銀行に未来はあるのか』
津田倫男さんの著作を読むのは、気づけばこれで3冊目になるのだけれど、正直に言うとちょっと微妙な感じがしている。Wikiによると、三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)に入行後、社費留学生としてスタンフォード大学に留学して1985年にMBAを取得。帰国後、1994年にケミカルバンク(JPモルガン・チェースの前身)、1997年にソシエテ・ジェネラル銀行、2000年(平成12年)にデル・ベンチャーズに転職し、その後は独立とのことで、第一線のバンカーとして活躍してこられた方なのだと思うけれど、その論考は読者の期待よりもちょっと手前すぎるような印象だ。
日本の銀行の置かれた環境は厳しい。
地方銀行のレゾンデートルが定義しづらくなっている。
例えばそういうことは、本書を待たずとも、どこでも言われている。
地方銀行自身も、危機意識(少なくとも漠たる不安感)は当然抱えている。
問題は、それが構造要因(例えば人口減少という社会構造、資金ニーズの低迷というマクロ経済構造、リスク投資に消極的な文化的構造、色のないカネを横並びで扱ってきた業界構造)に基づくトレンドだということであり、商品性による差異化がとても難しい銀行にとって、構造を打開するシナリオが思うように見出だせないということだ。それでも、明日も明後日も、変わらず銀行は店を開く。
じゃあ、どうすればいいんですか。
読者が期待するのは、それに対する著者の仮説なんだけどね。
率直に言って、ここが殆ど綴られていないのが、ちょっと残念だ。