Sunday, October 20, 2013

明学戦 #2

昨日チェックした対抗戦のことが、まだ気になっている。
いまやコーチでも何でもない、ただのOBの戯言になってしまうけれど。

キックオフ直後の前半1分。
相手のオフサイドで得たPKをタッチに蹴り出して、敵陣左ゴール前ラインアウト。やや後方でマイボールをキャッチすると、モールを組んだ次の瞬間、ショートサイドに控えたNo.8にパスをして突破を図るサインプレー。彼が力強く相手ディフェンダーにヒットすると、更に左サイドにFWが持ち出して、いきなりの先制トライになった。

これも率直に書いてしまうと、この一連をビデオで見て最初に感じたのは、実はとても強い疑問符だった。サインプレーの選択に、という訳ではない。サインプレーでNo.8が仕掛けることが分かっていながら、彼へのサポートがあまりに遅かったからだ。そして、最終的にトライになったピック&ゴーのタイミングが、自分の理想よりも1テンポ遅かったからだ。

今日は、チームはオフかなあ。ミーティングは、明日だろうか。
このプレーは、今シーズンのチームにとって、どのように総括されていくのだろうか。
No.8の彼は力強いヒット、そしてドライブを見せていた。これは、個人プレー。でもここに、彼が対面にヒットした瞬間、後方からトップギアで肩をぶち込んで、彼の身体もろとも押し込むロックがいると、ユニットプレーになる。スロワーとしてライン際に残っていたフッカーが、彼と相手ディフェンダーとの接点が生まれる場所を見極めて、ヒットの次の瞬間、相手がもう密集の左サイドからは頭をねじ込めないほどタイトなサポートを見せてくれると、初めてサインプレーになる。
そして、この3人が「チームの約束」をきっちりと果たしてくれることを信じて、既にボールアウトされたモールからFWが一斉にブレイクして、このラックに命をかけてくれた時に、この一連は本物のチームプレーになる。

強い個人を核にしたチームプレーはきっと、もう1つ上のレベルの相手であってもゲインラインを切ってくれるはずだ。でも、そのもうちょっと先も、きっとあって。それが、最後のピック。あれがもう1テンポ早かったならば、もう1つ上のレベルの相手からも「トライ」を狙えるんじゃないかなあ。ボールの白い腹がラックの最後尾に顔をのぞかせた次の瞬間、そこからもう消え去っているようなそんなタイミングで、ピックしてほしいんだ。この時、今度は「チームプレーによって個が活かされる」というもう1つ別のループが、グラウンドに生まれるんじゃないかなあ。

完全に妄想のようなものかもしれないけれど、チームの中でそんな会話がされていたら、俺としてはとてもうれしい。そして、「でもそのピックって、常にグラウンドのボールを最速で拾う意識ですべてのメニューをこなしてないと、たぶん出来ないよなあ」なんて台詞がロッカールームに転がっていたら、もっとうれしい。