Sunday, October 20, 2013

「小さな瞬間」に全力を

再び対抗戦のことを。
もう1ヶ月前のゲームなのだけれど、学習院大との開幕戦をチェックしてみた。
次のゲームが一橋大ということを考えると、最も参考にしやすいのかなと。
そうしたら、色々と見えてきた。

今シーズンのチーム目標を考えると、絶対に負けられないという決意を胸に臨んだ開幕戦だったのだと思うけれど、ファイナルスコアは20-26。前半を20-21の僅差で折り返すも、後半3分に追加点を許してしまい、そのまま逃げ切られてしまった。このゲームは、選手たちの中でどのように総括され、そして今、この惜敗から何を得ようとしているのかなあ。もしかすると、先日の明学戦以上に、今、見返した方がいいゲームなのかもしれないと、俺は思うのだけれど。

ゲーム全体をみれば、前半7分に失ったトライがターニングポイントだったかもしれない。自陣10mよりやや後方、左サイドの相手ボールLO。相手スローが乱れた後のこぼれ球を確保して展開すると、グラウンド中央あたりでラック。これをSHがクイックにパスアウトすると、SOから右オープンにキックする。でも、このボールをカウンターされて、最後は相手WTBがライン際で上げたショートパントの処理をミスしてそのまま拾われ、ポール下まで運ばれてトライとなった。

キック処理のミスは、結果論。惜しまれるけれど、どうでもいい。
それよりも、チームで意見交換はされたのかなあ。

あのトライがポール下でなければ、前半が20-19だったかもしれないことについて。

相手のWTBが突進したのは、左のライン際。ショートパントの落下地点も、こぼれ球を拾った場所も、もちろんライン際。でも彼は、やすやすと正面にトライした。
理由もはっきりしている。こちらのSOが蹴ったボールを受けた相手ランナーが1次ディフェンスを切った時点で劣勢のフェーズになることが分かっていながら、誰1人として、「次に埋めるべきスペース」へとコースを切り替えていなかったからだ。いや、コースだけじゃない。そもそも、誰1人として「全力で」追いかけていなかった。最後にポール下まで戻ってきた左WTBに、正面でトライさせないという意地は、全く見られなかったけれど、それだけじゃない。そのはるか前に、1次防御を切られた瞬間のチームの反応力で、既に勝負はついていた。
絶対に負けられないゲームの、前半7分に。

今、俺はコーチでも何でもないけれど、チームのことは好きだから、悔しくてたまらない。明学戦をみて感じたショックと同じものが、あの瞬間にも既にあったんだ。そのことが惜しまれてならない。あの場面でトップギアが入らないというのは、誰よりも選手自身が、自分達の可能性を信じ切れていないということになってしまうのだから。

正面にトライさせなかったとしても、ゴールは入っていたかもしれない。20-19で迎えても、結果がどうだったかは分からない。でも俺は、もう勝手に確信している。あの瞬間に「本当のベスト」を尽くせるようになるだけで、そういう「小さな瞬間」に本気でこだわっていくだけで、チームは劇的に強くなるということを。