Sunday, October 23, 2005

ミスをしたら勝てない

久しぶりの更新。
ずっと忙しくて書く時間がなかったけれど、ようやく一息つけるようになった。

9月25日の北海道バーバリアンズ戦以来、1ヶ月振りのゲーム。
タマリバ vs 横河電機B @横河電機G
11月3日に控える東日本トップクラブリーグ決勝の前に組まれた唯一のゲーム。
意図していた目的は2つだけだ。ひとつは、決勝に向けてチームの完成度を高めること。もうひとつは、日本選手権を想定して、様々なプレーの可能性を試してみること。
それはきっと、メンバーの誰もが分かっていたことだと思う。

でも、残念ながら意図したようにゲームは進まなかった。現時点でのチームの脆さが浮き彫りになった、という意味では良かったのかもしれないけれど。

とにかくミスが多かった。前半だけで何度ボールを落としただろう。決して強くない相手に対して、終始攻め続けながら、トライに結びつかない。トライの芽をことごとく摘んでいたのは、相手のDFではなくて、すべて自分たちのミスだった。

はっきり言って、致命的だ。
タマリバが目指すレベルのチームが、例えばワセダAが相手だったならば、これだけのミスが起きた瞬間にもうゲームセットだ。絶対に勝てない。
確かに、チームとして新しい試みも幾つかあった。平日にメンバー全員が揃って練習できない状況では、ゲーム直前に基本的な動を擦り合わせていくしかなかった。準備不足は多分にあったと思う。
でも、今日のゲームでのミスは、総じてそういうこととは別の問題に起因していた。
チームの準備不足というより、ゲームに向かう個々人の準備不足。
それがどれほど致命的なことか、ということを肌で味わったことが、おそらく今日の唯一の収穫だと思う。
もちろん、おれ自身もそうだけれど。


社会人での3年間の経験を通じて、おれはラグビーの見方を大きく変えていった。
ヘッドコーチだった大西さんの影響は、いろいろな意味で非常に大きかったと思う。大西さんのラグビーに対する考え方や志向性を好まない人も少なからず存在するけれど、基本的におれは、大西さんの言葉を自分なりに受け入れ、理解しようと努め、解釈し、再構成しようと心掛けていた。大西さんは、好むと好まないとに関わらず、誰もが認める実績と経験を持ち併せていて、そのラグビーに対する姿勢には全く揺るぎのない人だった。だから、言葉には力があった。疑問を抱くこともあったけれど、本質を射抜く鋭さに息を飲んだことも少なくない。
大西さんを妄信していたつもりはないんだ。きっと大西さんの言葉に対する響き方は、人それぞれだと思う。おれにはおれのラグビー観がある。東大という特殊なチームで育てられ、他の人とは違う経験をしてきている。だから、いつもおれは、おれ自身の言葉で大西さんを再構成しようとしていたんだ。結果的に言うと、それはすごく知的刺激を要する作業で、おれ自身の為にとても良かったと思っているけれど。

そうやって3年間接した大西さんのラグビー観の中で、おれにとって決定的だったものが幾つかあるのだけれど、そのひとつが「ミス」ということなんだ。
大西さんは、いつも言っていた。「ミスをするチームは、絶対に勝てない」って。

単純なハンドリングエラーだけじゃない。判断のミス。準備のミス。コミュニケーションのミス。そうしたすべての「ミス」がゲームを決めていく。ミスが生まれるのには、様々な理由があると思う。それは相手のプレッシャーかもしれない。あるいは自身の集中力の欠如かもしれない。そしてその背景には、フィットネスやフィジカルの弱さがあるのかもしれない。練習量かもしれないし、チームとしてイメージが共有されていないことかもしれない。そういう諸々が、結果的にひとつの「ミス」となってゲームの流れを変えていく。それが結局のところ、「実力の差」というものなのだと思う。

ミスをしたら勝てない。
改めて言うことでもないけれど、今日おれが感じたのは、ただそれだけです。