Tuesday, April 17, 2007

Perth #3

4月11日、水曜日。
また1人でホテルを出ると、最寄駅のBurswoodから電車に乗り込む。
Perthで乗り換えて、そこから2駅。Glendaloughという駅で降りると、今度は駅前でバスをつかまえる。揺られること20分位かな、向かった先はタクシーの運転手さんが「Perthで最も美しい」と教えてくれたビーチ、Scarboro beachだ。

Scaboro beachの最寄りのバス停を降りて数十メートル歩いた先には、インド洋。
驚いた。色の違いに見惚れてしまった。
エメラルドブルーというのか、あの海面の青の美しさは、ちょっと日本では見ることが出来ない。透明感と深みが同居したような輝かしい青が、本当に美しかった。
海って、あんなに色が違うんだね。

この日は天気にも恵まれて、上空は見事に晴れ渡り、日差しが痛いほどだった。
強烈な紫外線は思わず目を塞ぎたくなるほどで、しばらくビーチの写真を撮り歩いた他は、1時間近くずっと日陰でのんびりしていた。海水浴をするでもなく、サーフィンをするでもなく、ただ日陰にいたのだけれど、なんだか幸せな時間だった。
勿論サーファーはサーファーで、最高の海を満喫していたと思うけれど。

ただ、被写体としての「海」は、おれにはちょっと難しいね。
街の方が、遥かに面白い。
海は広すぎるからね。もっと雑多で混沌としていて、多様な匂いがある場所の方が、被写体としては自分に合っているように感じる。例えば「東京」が被写体として面白い理由は、そんなところにあるのかもしれないね。

午後になってScarboro beachを離れると、バスに乗って再びPerth Cityへと戻る。
次に足を運んだのは、Perth駅のすぐ北側、ノースブリッジ(NorthBridge)と呼ばれる一帯において、WA美術館と共に構えるArt Galleryだ。
http://www.artgallery.wa.gov.au/

このArt Galleryを訪れようと思ったのには、理由があるんだ。
それは、ちょうど開催されていた企画展「RAISED BY WOLVES」のポスター。
使われた写真は、日本の若手を代表する写真家、ホンマタカシのものだったんだ。
アジアの孤島日本から遠く離れたこの場所で、日本人写真家の作品に触れることになるとは思っていなかったのだけれど、その偶然に何故だか惹かれてしまった。

断っておくけれど、ホンマタカシの写真が特別に好きだという訳ではないんだ。
勿論、綺麗な写真を撮る人だということは知っていたけれど。
でも、実際にGalleryに展示された数々の作品を観ていると、ホンマタカシの数点の写真は、他の作品と比較してもクオリティの高いものだったと思う。透明感があって、ホンマタカシらしさを明確に感じ取れる作品だった。

ホンマタカシに限らず、Galleryに展示された作品群を観ていて思ったのは、日本人の美的感覚は、世界的にも非常にレベルが高いのではないか、ということ。日本人の感性とのフィット感の違いもあるのだろうとは思うけれど、WA(Western Australia)出身の作家達が出展していた数多くの作品と比較すると、日本で目にするアートの方が、総じて作品としてのクオリティが高いように感じた。
繊細かつ丁寧に美を結実させていくスタイルが、日本は秀でているのかもね。

夜になると、再びキングスパークへ。
キングス・パークの夜景は本当に素晴らしかった。
滞在期間中、キングスパークには実は3回も訪れてしまったのだけれど、何度来ても飽きることがなく、非常に良い場所だった。日中、夕暮れ時、そして夜と、様々な時間帯に訪れて、その都度、見える風景が違っていたことも、とても楽しかった。
春夏秋冬が違えば、きっとまた別の表情があるのだろうね。