清澄白河にあるアートスペース、タカ・イシイギャラリー(Taka Ishi Gallery)。
夕方の18時を越えた頃になんとか辿り着いた。
目的は、アラーキーこと荒木経惟さんの写真展「67 反撃」だ。
Nobuyoshi Araki "67 Shooting Back"
67歳のアラーキーが、67カメラで撮った約100点の写真が、空間を埋め尽くす。
そのほとんどは、カラーで撮られた女性たちのヌードだ。
ヌードといっても様々で、爬虫類の模型を画面に配置したものや、女性を縛り上げたもの、或いは吊るし上げたものも多かった。スタジオで撮影されたものもあれば、屋外のものもある。ホテルのベッドでの写真があるかと思えば、プライベートな部屋の片隅で撮られたような「私写真」もある。脱いだ下着をテレビの上に置いて、生まれたままの状態でレンズに対峙させてみたりね。
ああいう写真を女性が観たら、どう感じるのか分からないけれど、間違いなく言えることが1つあるとすれば、被写体の女性たちの眼が、違った。少なくとも、男のおれにはそう感じられた。艶かしくて、どこか強さのある眼というのかな。
すべての写真が良かったとは思わないし、首を傾げたくなる写真もあるのだけれど、モデルの女性たちの眼の強さを観ていると、アラーキーの凄みが伝わってくる。女性たちの眼を変えてしまう「被写体との距離感」は、どの作品にも共通するアラーキーの写真の魅力で、67歳とはとても思えないバイタリティが溢れ出しているよね。
特に気になったのは、打ちっ放しのコンクリート壁の前に置かれた青いソファの上で、裸のまま膝を組んで座っている女の子の写真。とてもかわいい子なのだけれど、どこか寂しそうな眼をしていて、裸になることを決意するまでに彼女が生きた時間を、思わず想像してしまった。
どうすれば、あんな写真が撮れるのだろう。