Saturday, June 09, 2007

藤森照信

久しぶりの更新。

6月11日、土曜日。
武蔵工大との1年試合を観戦後、シャワーを浴びて急いで初台へと向かう。
東京オペラシティのアートギャラリーで開催中の企画展「藤森建築と路上観察」ね。

建築史家の藤森照信さんに、以前から興味があった、という訳ではないんだ。
というよりも、恥ずかしながら、藤森照信さんの存在さえ、数日前まで知らなかった。
建築の世界に踏み出した友達が、薦めてくれたんだよね。

結論から言うと、素晴らしかった。
建築を知らないおれにとっても、わくわくする世界がそこには広がっていた。

この展覧会は、昨年の第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展で開催された「藤森建築と路上観察:誰も知らない日本の建築と都市」をベースとした帰国展で、内容を大別すると、藤森建築のこれまでの作品群を纏めた第1部と、路上観察の第2部で構成されている。第1部では、代表的な作品の写真を中心として、模型作品や学生時代の卒業制作、プロジェクト作品等が多数展示されている。第2部になると、藤森さんの他に赤瀬川源平、南伸坊、松田哲夫、林丈二等をメンバーに加えた「路上観察学会」の写真作品が展示されている。路上、或いは街中にあるちょっと面白いものや、趣きのあるもの達を、メンバー各自の独特の世界観で切り取っていく。こちらはシンプルに楽しめるものが多いね。「ジャコメッティ」の標題をつけられたひょろひょろの狛犬とか。

個人的には、とにかく藤森さんの建築作品が刺激的だった。
藤森作品を観ること自体が(写真も含めて)初めてだったのだけれど、非常に独特で力強い作品が多かった。「自然素材の活用」といった大きな括りの前に、単純に「木」が持っているバイタリティをうまく解放しているイメージだね。
個人的に印象に残ったのは、熊本県立農業大学校の学生寮の中にある食堂。天井の高い空間の中を、何本もの赤松が屹立しているのだけれど、それが格好良くて。
他にも、例えば数々の茶室。上手く表現できないけれど、とても人間的だよね。
それから、『東京計画2107』も凄かった。父親が建築家なので、小さい頃から自宅でよく模型作品を観ていたけれど、こういったプロジェクト模型を観る機会は、これまで多くなかったからね。「地球温暖化の果てに水没した東京」という構想力もさることながら、模型そのものにパワーがあって、とても魅力的だった。

薦めてくれた友達に感謝。
今度は写真ではなくて、実際の藤森建築を観てみたいね。