Sunday, June 23, 2013

本当に「いい」プレーのことを。

6月24日(日)
IRBパシフィック・ネーションズカップ2013@秩父宮ラグビー場
日本代表 38-20 アメリカ代表

前半こそディフェンスでやや淡白なシーンも見られたものの、終わってみれば快勝。
歴史的勝利となった6/15(土)のウェールズ戦に始まって、因縁のカナダ、そして本日のアメリカと、見事に3連勝で飾ってくれたジャパン。間違いなく強くなっている。残念ながらライブでの観戦とはいかなかったけれど、TVで観ていても学ぶべきポイントが本当にたくさんあって、3試合とも非常に面白かった。今秋のオールブラックス戦も、今から楽しみだ。(こればかりは、もう秩父宮しかない。)

さて、アメリカ戦。
ペナルティトライを奪ってみせたスクラムを筆頭として、ゲームを決定づけたポイントは幾つもあると思うのだけれど、個人的にすごく印象的だった小さなプレーのことを、この場に書いてみたい。ゲームの大勢とはあまり関係がないのかもしれない、地味なプレーのことを。

後半37分、敵陣22m中央あたりのエリア。
そこに至るまでのシークエンスを正確に思い出せないのだけれど、ジャパンがアタックで持ち込んだボールをターンオーバーされた。その時、右サイドのポイント際にいて、両腕を大きく振り回して、右サイドのディフェンスラインを引き上げたのが、キャプテンのWTB廣瀬だった。残り時間とスコアを考えると、当然攻め続けるしかないアメリカは、SHがジャパンの左サイドに展開。ラインアタックを仕掛けてきたところを、ちょうど前線に上がってきていたFBの五郎丸(だったと思う)がタックルで喰い止めて、再びラックフェーズに。そして次の瞬間、少しだけ深めのコースでカバーに走っていた廣瀬が、一気に加速してブレイクダウンに刺さっていった。そう、見事なカウンターラック。結局、ジャパンはその後のプレーでアメリカの反則を誘って、敵陣でのチャンス獲得に成功したのだった。

もう勝敗は決まっている中でのプレー。
そこに「がめつさ」がなくても、危なげなく勝ち切れる、そんな場面。
時間は後半37分、最も苦しい時間帯。
そして、エリアは敵陣22m左サイド。背番号14にとって、ある意味で最も遠い場所。

あのプレーを見て、改めて思った。
廣瀬、ほんと凄いなあって。

この3連戦における廣瀬の活躍は、ラグビーファンの誰もが唸るところだろう。
まさに獅子奮迅の働きを見せている。現代のWTBに求められるワークレートの見本になるはずだ。タイミングと身体の使い方で、粘り強くゲインラインを切っていくプレースタイルと、仕掛ける場面を見極める勝負勘で、目立たないながらも数多くのトライに絡んでいる。彼のキャプテンシーはメディアでも度々取り上げられていて、それはおそらく廣瀬の素晴らしい資質なのだと思うけれど、ただ素直に言ってしまえば、プレーがいいのだと思う。さほど派手ではなかったとしても。

ああいうプレーにこそ、見るべきものがあるはずなんだ。
誰も取り上げなくても自分のベストに嘘をつかない、まさしく献身的なプレーに。