Saturday, October 26, 2019

RWC 2019 - Semi Finalに向けて、ABsのことを








南アフリカ(SA)との激闘の末、惜しくもQuarter FinalをもってW杯での戦いを終えることとなったジャパン。予選プールの4戦全勝は勿論のこと、先週末のSAとの再戦もやはり素晴らしいものでした。敗れてなお今大会のジャパンの輝きが色褪せることはないと思います。

5週間に渡るジャパンの挑戦が終幕を迎えて、複数の選手が「負けたことよりも、このチームが終わることの悲しさ」が強いと語っていますが、ジャパンの快進撃に歓喜し、その真摯な姿に心打たれてきたファンの胸にも、どこか喪失感があるのは否めません。1人のラグビー人として、今はただ「ありがとう」という思いしかなく、選手・スタッフを含む全ての関係者の皆様には、ゆっくり骨を休めてもらいたいと心から願っています。

とはいえ、RWC 2019はまだ終わっていません。というよりも、RWCにおいて絶対に目が離せない最高級の熱戦、地球最強を決める4つの戦いが残されています。今週末のセミファイナル2試合(NZ-England、SA-Wales)、来週末に行われる3位決定戦、そしてファイナル(決勝)です。ちなみに、ジャパンの躍進によるラグビーへの関心の高まりもあって、セミファイナルは2試合とも地上波での生放送があります。断言しますが、絶対に見逃せません。地球最強を決める戦いが面白くないはずがないからです。

折角なので、今回はやはりいつの時代もラグビーファンの憧れの中心にある存在、ニュージーランド代表オールブラックス(ABs)について、2つだけ見所をお伝えします。いつも通り、私の独断と偏見を織り交ぜながらで。

まずは、ハカのことを。
ABsといえば、やはり有名なのはハカですよね。国歌斉唱後、キックオフ前に行われるパフォーマンスで、元々はマオリ族の戦士たちによる伝統的な舞踏です。

誰もが一度は目にしたことがあるとは思いますが、実はABsのハカには2種類あるのをご存知ですか。「カマテ(Ka Mate)」「カパオパンゴ(Kapa O Pango)」です。一般的にはカマテが有名ですよね。

カパオパンゴは2005年に新たに作られたのですが、それ以前のABsでは、ハカの意義が見失われかけた時期がありました。ハカ自体が形式化していき、なぜハカを踊るのか、選手達の中から疑問の声が出たことがあったそうです。

でも、彼らはもう一度1つ(One Team)になるために、ハカを再構築するんです。ルーツを遡り、今の時代においてハカが継承されることの意義を再発見するプロセスを経て、新たに生まれたのがカパオパンゴです。

あれは決して単なるショーマンシップではありません。ABsの伝統と誇りを背負って戦うという魂の叫びです。彼らはハカの練習もしますし、ハカ自体の完成度はチームの完成度の"part of it"となっています。リードするのはSHのTJ.ペレナラ。明日はどちらで来るかは分かりませんが、ハカが始まったら、TV画面の前でまず一度唸ってください。「カマテで来たかぁ」とか、「ここでカパオパンゴを持ってきたかぁ」とか。楽しいですよ。

これから日本との縁を築いていく猛者たちに、声援を ー
実は、明日のABsのメンバーの中には、今回のW杯をもってNZ代表を引退して、そのまま日本でプレーする予定の選手が複数存在します。主将を務めるNo.8のキアラン・リード(トヨタ自動車)、世界最高のロックとも言われるブロディ・レタリック(神戸製鋼)、そしてサム・ホワイトロック(パナソニック)です。更には、明日のメンバーには入っていませんがCTBのライアン・クロッティもクボタへの入団が決まっています。明日のリザーブにいる"SBW"ことソニー・ビル・ウィリアムスは過去にパナソニックでのプレー経験がありますね。この辺りのメンバーの活躍ぶりにも、是非注目してみてください。いずれも紛れもないスーパースターです。心躍るようなパフォーマンスできっと魅せてくれます。

もう後は、ただ見るだけで十分です。理屈は一切不要です。ラグビーのことを何も知らなかったとしても絶対に後悔しない80分間が、今日、そして明日と続きますので。