森山大道さんの『昼の学校 夜の学校』読了。
写真を学ぶ学生に向けて行われた森山さんの4回の講義、そして学生との質疑応答を纏めた作品。森山大道という写真家の飾らない姿が垣間見えて、非常に読み応えのある内容だった。
写真に興味がなくても、きっと感じるものがあると思う。
写真というひとつの表現の枠組みを越えて、心を揺すぶる魅力と迫力があった。
おれなんてまだ何もしていないのだなあと、写真を生きてきた森山さんの語る言葉が迫ってくる。刺激的に、でもどこか焦燥感と悔しさのような感触を伴って。
印象に残った言葉がある。
『オレが一番だという自信、過信、妄信。たとえ虚妄でもそんな塊になってやらないとダメなのね。個人の勝手な欲望から生まれたものにリアリティを見たときに、初めて人は感動してくれるんだよ。そこがなくて作ったものは結局伝わらないと思う。』
(森山大道『昼の学校 夜の学校』、184頁)
他者の感性を否定するのではない。
あくまで自分自身の感性に対する、ぶれることのない自信と信頼。
自分が惹かれる世界の姿にストレートに対峙していく、ある種の誠実。
それが、非常に印象的だった。
そして読み終えた時には、無性に写真を撮りたくなってしまうんだ。