Sunday, September 24, 2006

レンジファインダー

いつものようにタマリバの練習を終えた後、新宿に向かった。
中古カメラを探しに行こうと思って。

最初に買った一眼レフカメラ「Nikon FM10」はとても使い易く、初心者のおれにとって全く不自由のないカメラなので、気に入って毎週末鞄に入れて持ち歩いている。なんだか照れ臭くてなかなか出来ないのだけれど、自分にとって気になる風景や街並に出遭った時に、いつでもシャッターを切るようにしたいと思って。レンズは35-70/F3.5の安価なズームレンズ一本しかないけれど、今のおれにはこれだけで十分だ。

ただ、一眼レフカメラは、どうしても本体が大きいんだ。FM10は一眼レフの中ではかなりコンパクトな部類だと思うけれど、それでも例えば通勤鞄に忍ばせておいて、移動時間や帰り道に写真を撮ろうと思っても、さすがに通勤鞄に入るサイズではない。それから、シャッター音が少し大きい。音自体はとても気に入っているのだけれど、街中や電車で他人を撮ったりすると、結構目立ってしまうと思う。
そんな訳で、もっと気軽に携行出来て、シャッター音の小さなカメラが欲しくて、新宿駅西口側にある中古カメラショップに初めて行ってみたんだ。

求めるものを考えると、コンパクトカメラが適切だったのかもしれない。
カメラを持って街に繰り出して、気に向いた瞬間にシャッターを切っていくには、最も向いているような気もしていた。高性能なコンパクトカメラだと、おれには十分すぎるくらいの機能を備えているし、影響されやすいおれは、森山大道さんが主に利用しているというRicoh GR21なんかが気になったりもしてね。

でも、実際に店頭にずらっと並んだ中古カメラを見較べて、色々な機種を実際に触らせてもらって、販売員の方の説明を詳しく聞いているうちに、どうしようもなくレンジファインダーカメラというものに心を奪われてしまった。

コンパクトなデザインと手頃な価格で最初に目に留まったのは、Zolkyというロシア製のカメラだった。ショーケースから出してもらって、説明を受けながら実際にシャッターを切ってみる。二重像を重ねていくレンジファインダー独特の焦点の合わせ方が面白く、また戦後間もない頃に作られた機械式のカメラで、電池なしで全て動かせる精緻な設計に、思わず虜になってしまった。
ただ、Zolkyは二重像が薄くて焦点が合わせづらく、若干難ありだったので、販売員の方に他の手頃なカメラをリストアップしてもらい、とにかく触って、覗いて、シャッターを切ってみた。ショップの方には随分手間をかけさせてしまったけれど、実際に幾つものカメラを手に持ってみると、ショーケースの向こうに眺めている時とは印象が全く違って、それが純粋に楽しかった。

それで、随分考えた末に、1台のカメラを買ったんだ。
Leica ⅡCというレンジファインダー、それから50mm/F3.5の標準レンズね。
中古品のなかでも極めて安価なものを選択したとはいえ、決して安い買い物ではなかったけれど、本当に嬉しかった。なにせ1948年に製造されたカメラなので、当然傷も多いし、スローシャッター機能もなければ露出計もない、本当にベーシックなものだけれど、とにかく愛着の沸くカメラだったんだ。外観の傷などはむしろ「戦後」を生き抜いた格好良さに見えてしまうくらいだ。

操作はちょっと難しそうだけれど、少しずつ慣れていきたい。
きちんと使いこなせるようにして、モノクロームの写真を沢山撮ってみたい。