『ラグビークリニック』 2011年12月号(ベースボール・マガジン社)
遅くなってしまったけれど、本日ようやくチェック完了。
現役としてラグビーに携わっている人間ならば、プレーヤー/コーチを問わず、間違いなく買った方がいい雑誌だと思います。純粋に面白いしね。
「アンストラクチャー」というのは、当然ながら「ストラクチャー」の対概念として扱われているのだけれど、この境界線は曖昧で、ややその本質を掴みづらいところはある。セットプレーを起点としてシークエンシャルに展開されたプレーは、その全体を「ストラクチャー」として扱ってよいものなのか、俺にはよく分からない。事前に周到に準備されたプレーを、想定した通りの間合いとスピードで仕掛けて、そして相手がある程度想定通りの反応を見せる、といった一連をもって「ストラクチャー」とするならば、俺がコーチとして関わってきた学生リーグのレベルで考えると、「ストラクチャー」と言い切れるようなフェーズは殆どないのかもしれない。
もしくは、あくまでその「起点」にフォーカスした概念なのだろうか。相手のミスやターンオーバー、あるいはキックカウンターに代表されるような。でも、計算通りのキックを蹴り込んで、それを受けた相手バックスリーがカウンターを仕掛けてくれば、それは「アンストラクチャー」とはちょっと違うような気もする。この場合は、「アンストラクチャーを、ストラクチャー化する戦略」とでも語られるのだろうか。
重要なのは、概念じゃないと思うんだよね。
原則としての合理性を徹底的に追求しながら、その一方で常に起こり得る非合理、あるいは逸脱を受け入れて、それにどう対処するか。それは、「アンストラクチャー」という言葉さえなかった頃から、何ら変わっていないはずなんだ。
そしてそれゆえに、本書を読む意味は、ラグビーの時流・変遷を問わず、普遍的に見出せるはずだと、俺自身は思っています。