Wednesday, August 15, 2012

『墨を読む』


墨を読む―一字ひとこと (小学館文庫)




  • 作者: 篠田 桃紅、undefined、篠田 桃紅のAmazon著者ページを見る、検索結果、著者セントラルはこちら

  • 出版社: 小学館 (1998/05)

  • 発売日: 1998/05


俺が幼い頃は、父親は本を読まなかった。
自宅で読書に耽っている姿は、ほとんど記憶にない。
そんな父が、ある頃から本を読むようになった。市の図書館に通い、何冊かの本を借りてきては、枕元に置いて読むという生活スタイルになっていった。それが正確にいつ頃だったかは思い出せないが、少なくとも40歳を過ぎてからだったような気がする。(自信はないけれど。)

さて、本書はそんな父の書棚に並んでいたものだ。
幾つかは、学生時代に俺が買って実家に送ってあった本もあったけれど、本書を買った記憶はない。今の状態になる前に、父が自ら買って読んだのだろう。なんとなく気になったので、返事のできない父の右肩に手を置いて、一言「持っていくよ」と声をかけて、鞄のポケットに入れて帰ってきた。
書家、篠田桃紅。その書に短文が添えられているけれど、メインはやはり書だ。

鋭くて、美しい。文字とはこうして芸術になるのか。
小さな文庫本で見て感想を書くのも失礼かもしれないけれど。
素直にいいなあと思うものが、本当に沢山あった。いい本だと思います。