Friday, August 03, 2012
『俳句いきなり入門』
ひそかに、俳句を書いてみようと思ったことがある。
Facebookでも2回ほど書いてみた。いや、正確には2回目は季語がない川柳なので、1回しか書いていないかな。誰に語りかけるでもなく、ふと思い立って書き留めてみたつもりなのだけれど、実はパートナーは心の中で思っていたそうだ。
「やめてくれ」って(笑)。
さて、本書はやや異端の俳句入門書だ。
なかなか変わり種のイベント、公開句会「東京マッハ」の司会を務める千野帽子さんが、俳句の世界の魅力を、独特の切り口で綴っている。
まず、基本的に句作の入門書ではない。著者によれば、俳句を支えているのは作者ではなく、読者なのだそうだ。句会があるから、俳句を作る。そして、句会の魅力は投句よりも選句にある。本書は一貫して、そのスタンスで書かれている。
句会か。考えたこともなかった。
でも、本書を読んでいると、これが面白そうに思えてくる。
何が面白いか。俳句の意味というのは、作者のちっぽけな自我によって規定されるものではなくて、作者の意図を越えて、読む側の想像力が十七音の外側に無限の広がっていくことで、新たな意味が常に発見されていく。そのプロセスこそが面白いのだというのが、本書のメッセージだ。句会とは、そのための舞台なのだ。
俳句とは「自分の言いたいこと」を表現するものではないと、著者は言う。
『俳句は自分の意図にではなく言葉に従って作るものだ。だから自分で思いつかない表現が出てくる。自分の発想の外側に着陸できる。坪内稔典さんも言うとおり、感動したから書くんじゃなくて、書いたから感動するのだ。』
『「自分の意図をわかってもらう」ためなら、なぜ十七音でリズムも決まってて季語も切れも必要なこんな縛りだらけの形式を選ぶのだろう。ふつうにもっと長い文章書けばいいじゃん。』
なるほど。興味深い指摘だ。
言葉が先にあるのか。そう思いながら俳句を読んだことは一度もなかった。
これからは、多少なりとも俳句の読み方が変わってくるかもしれない。