Tuesday, July 31, 2012

『読書の技法』


読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門




  • 作者: 佐藤 優

  • 出版社: 東洋経済新報社

  • 発売日: 2012/7/27


基本的に、読書法の類を読むよりも、読書した方がいい。
勉強法の本を読む時間があったら勉強すればいい、というのと同じだ。
ただ、読書の世界にも間違いなく別格がいる。そして、少なくとも松岡正剛と佐藤優の2人がまさに別格の存在であるということには、ほぼ異論がないだろうと思っている。そんな訳で、昨日偶然見つけた本書を読み通してみた。

結論。佐藤優はやはり知の巨人です。
もちろん、佐藤優の著作は本書以外にも多数あり、その知の深淵が如何なく発揮されている好著の数々を思えば、特筆すべきものではないのかもしれない。ただ、やはり本書で紹介されている佐藤優の「読み方」は凄い。綴られている内容は決して突飛なものではなく、多くの読書家が近しいことをしているようなものなのだけれど、その結果としての知的消化力・吸収力は、もはや別次元といった感じがする。

本には「簡単に読める本」、「そこそこ時間がかかる本」、「ものすごく時間がかかる本」の3種類があるという。その上で、佐藤優はこう言ってのける。

「標準的なビジネスパーソンの場合、(中略)「ものすごく時間がかかる本」がないという条件下で、熟読できる本の数は新書を含め1ヵ月に6~10冊程度だろう。つまり、最大月10冊を読んだとしても1年間で120冊、30年間で3600冊にすぎない。
3600冊というと大きな数のように見えるが、中学校の図書室でもそのくらいの蔵書がある。人間が一生の間に読むことができる本の数はたいしてないのである。この熟読する本をいかに絞り込むかということが読書術の要諦なのである。」

確かに、現時点の俺の実感に近い。多少余裕がある月だともう少し読めるけれど、月10冊は結構いい線だと思う。(ただし、ここがポイントなのだけれど、これは残念ながら佐藤優の言うところの「熟読」ではない。あくまで「精読」といった程度だ。この時点で、佐藤優はもはや追いつけない場所にいる。)でもそんなものは、中学校の図書館程度なのだと・・・。まだまだ、全然足りないのを痛感してしまう。

一方で驚いたこともある。佐藤優でさえ、熟読する本は月に4~5冊だというのだ。これは想像以上に少ないと感じた。ただし、彼は月平均100冊程度の献本は全て速読で全ページに目を通し、それに加えて新刊本を70~80冊、古本を120~130冊買い、これらも全て読んでいるそうだ。月300冊。その中から、本当に読むべきものを1%程度にまで絞り込んでいるということになる。一般人には、とても真似できない。

でも、それでも始められるところから、自分の読み方を作っていきたい。
俺自身は、基本的に自身の「読む力」を信用していない。スポーツでいえば、基礎練習をきちんと積まずに無手勝流で適当にやっている感じがする。これは読書歴が浅いことも大きいような気がする。(今でこそ自分でも信じられないが、高校を卒業するくらいまでは殆ど読書しない人間だったのだから・・・。)
そして、こういう達人(というか、もはや傑物)の読書スタイルを垣間見ると、自分には「量」が足りないということを痛感してしまう。それも、「精読」ではなくて「速読」、つまり「捌く読書」が決定的に足りていない。

さて、これからどこまで読めるかな。
まあでも、中学校の図書館くらいは越えていきたいところです。