Friday, March 30, 2012

『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈2〉』


今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈2〉




  • 作者: リチャード・A. ムラー、Richard A. Muller、二階堂 行彦

  • 出版社: 楽工社 (2010/09)

  • 発売日: 2010/09


いやあ、面白いなあ。
<1>も非常に興味深かったけれど、<2>もやはり良いです。
それにしても、基礎的な科学の素養がなさすぎるね・・・。
<2>のテーマは、「第四講 宇宙空間の利用」と「第五講 地球温暖化」の2つなのだけれど、特に第四講が面白い。3種類の衛星軌道(地球低軌道(LEO)・静止軌道(GEO)・地球中高度起動(MEO))とそれぞれの用途。偵察衛星やGPS衛星、あるいは気象衛星や放送衛星といったものが、なぜ、どの軌道に位置しているのか。例えばそんなことが、非常に分かりやすく書かれていて、「俺、何にも知らなかったなあ」とか思いながら、ふむふむと読み進めていった。宇宙空間から重力を測定するグレース衛星のことも知らなかった。この衛星によって、南極の氷が年間36立方マイルずつ減少していることが判明したり、ユカタン半島の埋没したチクシュルーブ・クレーター(恐竜を絶滅に追いやった小惑星の衝突跡)の地図が作成されたりしたそうだ。「世の中便利になったなあ」とかつぶやきながら、GPSの構造も知らずにiPhoneのマップ機能のお世話になっている場合じゃないな、と思ってみたりして。
ちなみに、南極の氷の融解が温暖化と無関係であるというのも、その理由を聞くと至極当然の話だ。地球が温暖化すると海水の蒸発量が増大し、この増えた水蒸気が南極に達すると、雪になるからだ。(南極の大半の地域の気温は、氷点下よりもはるかに低い。)そもそも、2001年のIPCCの前の報告書では、「地球が温暖化しているならば、南極の氷の質量は増大する」と予想されていたそうだ。

いい本です。
<1>とセットで読むと、結構多くのことがすっと腹に落ちるかも。