ロベール・ドアノー『不完全なレンズで』(月曜社)
昨日の夕方、キャパの『ちょっとピンぼけ』を買うつもりで書店に寄ると、残念ながらお目当ての1冊が置かれていなかったかわりに、もうこれは衝動買いするしかないという1冊が偶然にも目に飛び込んできた。
ロベール・ドアノー。そして、魅力的なタイトルと装丁。
そんな訳で今、読んでいます。
ドアノーの写真は、とても好きだ。もう1人の大好きな写真家、アンリ・カルティエ・ブレッソンと比較すると、ドアノーの方が甘美な感じがする。(パートナーによれば、セクシーだと。)
甘美で、どことなく「おちゃめ」な写真。それが、個人的なドアノーのイメージだ。
本書はそんなロベール・ドアノー自身によるエッセイに、幾つかの写真作品が添えられたものなのだけれど、文章もなかなかに叙情的だ。散文的でまとまりはないけれど、詩的で、イメージの彷徨うままにペンを進めたというような感じの文体。
きちんとそのイメージを追っていくのは、正直に言って難しい。
こういうタイプの文章を読む感性が、錆びてしまっているのかも。
でも、そうは言いながらも、本書を買ったことに一切の後悔もありません。
挿し込まれた写真の数々を見ているだけで、もう十分に気分がいいのだから。