Saturday, March 31, 2012
『コストマネジメント思考法』
昨日の夕方、なんとなく晴れない気持ちで箱崎を後にして、その足で寄ったブックファーストで買った1冊。コストマネジメントは、今、最も必要なことだから。
この分野ではよく登場してくるA.T.カーニーのパートナー、栗谷氏による著作。
率直な感想としては、「まあ、そりゃそうだよね」といった感じかな。
コストに対するアプローチの最も基本的な考え方を整理したもので、新しい発見を求めて読むのではなくて、必ずしも体系化されていない断片的知識を、一本の糸にするために読むのが妥当かなと思います。
ざっとポイントをまとめてみよう。
コストマネジメントには、大きくは「必要性の判断」と「適正化」の2つの軸がある。
まず最初に考えるべきは、必要性。「そもそも、そのコストは必要なのか」を再考し、不必要と判断されるものはやめていく。この際のアプローチにも2つあり、1つは「最適化」だ。例えば、過剰品質の追求に投下されているコストを最適化して、適正な品質水準に持っていくのがこのアプローチだ。もう1つは「変動化」で、固定費としてコストを負担すべきかを見極めて、モノによっては変動費へと変えていく。
ここまでで必要性が認められたコストについては、次に「適正化」の余地を探っていくことになる。必要なコストだとして、「今の水準は適正なのか」を分析・評価することでムダを切り出していくのだけれど、この際の手法として「集約」「分解」「統合」の3つが挙げられている。例えば、ボリューム・ディスカウントは典型的な「集約」の効果だ。「分解」とは、端的に言ってしまえば丼勘定を排除し、真のコスト・ドライバーを炙り出すことで適正化を推進する手法。「統合」では、例えば業務プロセスの統合や、外部(サプライヤー・顧客)までを含めた一連のフローを統合的に考えることで、全体としての効率化を狙っていくことになる。
そして、耳の痛い言葉が。
「前提として透明化が必要である。」
「長年の貸し借りも透明化し、清算することも必要になる。」
「単価・数量(および、購入物ならばサプライヤー、人件費ならば個人別生産性)というミクロレベルの把握なしには、コストマネジメントは不可能である。」
そう。だからこそ、言いたい訳です。
本書のレベルでは、おそらくコスト削減などままならないと。
本当は重要なのは、例えば「実績」や「生産性」の捕捉というのが言葉ほどに簡単ではないという厳然たる事実であり、その現実を前にして、いかに歩みを進めるか、ということなのだから。