Monday, May 09, 2005

改めて、万博について

昨日に引き続いて、愛知万博。

7日の午前10時に長久手会場に入り、夜の7時30分に会場を後にするまでの9時間半。ひたすら歩きまわって、各国のパビリオンに足を運んできた。
今回の愛知万博では、企業館エリアが最も注目を集めているけれど、混雑の具合も尋常じゃない。トヨタ館や日立館、東芝館といったところは、日本企業の最先端の技術の結晶が見られるのだろうけれど、どこも1時間半〜2時間待ちの状態で、ひとつ見ただけで午前中がまるまる終わってしまう、といった感じだった。話題になっているマンモスや、藤井フミヤが総合プロデュースした「大地の塔」なんかも状況は同じ。そんな訳で、おれとしては、こういうところは一切見ない、という方針でいくことにした。そもそも、万博というのは「万国」博覧会なのだから、世界各国の展示をとにかく廻れるだけ廻る、というのでいいじゃないか、って思って。

全体を通して最も感じたのは、ここにあるのはやっぱりレプリカなんだ、ということ。
各国の展示は、決して悪いものばかりというわけではなくて、好奇心をくすぐるものもかなり多い。多くの国のパビリオンでは、本当に日本語の上手な現地の人間が、展示の説明やガイド、あるいは土産物の販売などをしていて、一様に明るく、異国情緒の一端を味わえる。(土産物の売り子をしている女性は、とてもかわいい人が多い。)それに、そもそもどこにあるのか知らないような国の展示を見られたり、展示の仕方そのものに各国の風土の違いが出ていたりと、楽しみ方はたくさんあると思う。
でも、レプリカなんだよね。当たり前だけどさ。
考えてみれば、レプリカでいいのかもしれない。レプリカでも、好奇心はくすぐってくれるからね。ここから先は、結局のところ自分で求めていくしかないし、それでいいんだろうな、とも思う。

ただ、そうした中で、イタリアはひとつ際立ったものがあった。
それは、『踊るサテュロス像』のまさにオリジナルが展示されていた、ということ。
これは、『踊るサテュロス像』の何たるかを知らなくても、一見の価値が十分にあると思う。実際、恥ずかしながらおれもサテュロスのことをなにも知らなかったのだけれど、その迫力には心を打たれた。凄まじいばかりのダイナミズム。恐ろしいくらいの力強さを備えた表情。1998年に漁船の網に偶然掛かって、水深480mの海底から引き揚げられるまで、2,000年以上にわたってシチリアの海にこの像が沈んでいたのだと知って、その奇跡にただ驚くしかない。
これから万博に行く人には、こいつだけは見てきてほしいです。

ちなみに、おれの印象に残ってる国をもうひとつだけ挙げるなら、アイルランド。
アイルランドには、いずれ行ってみたいと思った。もちろん、キューバが先だけどね。