Tuesday, May 17, 2005

神様はいますか?

田口ランディさんのエッセイ集、『神様はいますか?』
とてもまっすぐで、真摯で、正直で。すごく心に残るエッセイばかりだった。

ランディさんは、とても素直なひとなんだと思う。
結局、私は私で、私の外側の世界のことは分からないけれど、でも分かろうとしたい、ということに、とても素直なひとだなあって。
そこが、とても好きだ。
このエッセイ集は、すごくシンプルで根源的ないくつかの質問に、たった1つのフレーズで語られたランディさんの姿勢と、それについての思考の跡が添えられたような作品。たとえば、「神様はいますか?」とか「人は死んだら終わりですか?」とか、そんな質問。それに対して、ランディさんが自分の位置から向かい合って、素直にその向き合いを綴ったような感じだ。
それは、ランディさんの「答え」じゃなくて、「姿勢」であり「向き合い」なんだと思う。ランディさん自身がどう考えているのかは知る由もないけれど、少なくともおれはそう思った。「答え」なんて持ってるわけないじゃん。でも、私は私の位置から向き合ってみたんだ。そういう感じが、たまらなく好きだし、正直だと思うし、素直だと思う。

きちんと読み始める前に、ぱらぱらとページをめくっていたら、ひとつの質問と、それに寄せられたフレーズが目に飛び込んできた。

魂は、存在しますか?
いえ、存在こそが魂です。

ジグソーパズルがはまるように、すっとおれの胸のなかに落ちていった。ちょっとした感動だった。
そこからは、本当にむさぼるように読んだ。短いエッセイなので、あっという間に読めてしまうのだけれど、それぞれの質問への素直な向き合いにどんどん惹かれていった。そして実は、かなり共感してしまった。「共感」というとちょっと怪しい言葉で、正確じゃないかもしれない。単純にいうと、すごく響いた。なぜだか分からないけれど、うれしかった。

最後に、「奇跡はあると思いますか?」という問いに対して、ランディさんが寄せたことばをここに書くことで、もう一度おれの胸の中にしまいなおすことにします。

「たぶん踵の下に踏んでいます。」