Saturday, May 21, 2005

おれのプロ

リクルートが毎週木曜日に発行しているフリーペーパー『R25』。
その冊子のちょうど真ん中に、様々な世界で活躍する著名人の20代をテーマにしたインタビューが連載されている。
連載のタイトルは、”BREAKTHROUGH POINT 〜つきぬけた瞬間”。
正直言ってあまり読むもののない『R25』の中にあって、「スマートモテリーマン講座」と並ぶキラーコンテンツなんじゃないかと勝手に思っているのだけれど、そのインタビューで今週取り上げられていたのが、宮藤官九郎だった。

宮藤官九郎というひとの雰囲気が伝わってくるまとめ方がされていて、なかなかおもしろかったのだけれど、その中で、特に心に残ったところがあるんだ。
宮藤官九郎は、20歳で松尾スズキに心酔して劇団『大人計画』に参加する。その後、劇団員としての活動に傾倒していくのだけれど、劇団は基本的に、芝居で食っていくことを目指す人間が集まった世界。皆がそうではないかもしれないけれど、活動を継続する過程で、結局はそういう志を持った人間だけが残っていく。そうした世界で生きる中で、宮藤官九郎にとっての「プロ」というものが定まっていくのだけれど、そこで語られている考え方が、すごくおもしろいんだ。

劇団における「プロ」というものを目の当たりにして、宮藤官九郎は思ったんだって。それは社会に対するプロというのではなくて、その人の中のプロじゃないかと。例えば、松尾スズキは松尾スズキのプロだ。荒川くんは荒川くんのプロだ。他の誰かをみてすごく面白いと思っても、それはその人にしか出来ないことなんだ。そのことに気づいたのが、20代前半だったんだ、って。

前を向いてると思う。
これはとりもなおさず、「自分は自分のプロになればいい」ということであり、それは自分の中のプロを信じて、つきつめて、それを磨いていくんだという決意表明だったんだと思うんだ。「自分のプロ」という世界には、才能がない、という言い訳はきっと存在しない。松尾スズキじゃないことは、逃げ道にはならない。誰もが踏んでいない道を自分で作っていくしかないのだから、タフなスタンスだと思う。それでも宮藤官九郎は、実際に25歳で一切のバイトを辞める決断をして、自分の中でのプロ宣言を果たすのだから、すごいよね。

おれのまわりにも、いろんな人がいる。
スポーツ分析ソフトを開発してしまった祐造さんがいる。Webデザイナーとしてビジネスを立ち上げてしまったヤマシタがいる。AUSでラグビー修行している川合さんがいる。8,000m級の山を踏破してしまったタニくんがいる。
みんな、すごい。格好良いと思う。おれには、出来ないことばかりだ。

だからおれも、「おれのプロ」を目指さないとね。