Saturday, June 18, 2005

その先を考える

"Three Questions"という考え方があるらしい。
同じチームのメンバーとして一緒に仕事をしている先輩が、教えてくれた。

"Three Questions"というのは、『三度「なぜ」を考える』ということ。
三度考えれば、大方の問題はクリアできるはずだ。そして、それは裏を返せば、三度問うまでは簡単に分かった気になってはいけない、ということでもある。仕事上のトラブルがあって、解決が困難な問題が発生したときに、そんなことを話してくれた。

いい言葉だと思う。
なにか問題が起こったとする。誰だって、まずはその原因を考えてみるだろう。でも、そこで思い至った原因の先まで、さらに掘り下げていく。原因というのは、なにか別の原因から導き出された結果だからね。そうやって因果関係を辿っていくことで初めて、その問題を引き起こした本当の原因が見えてくる。そこまで遡らなければ、きっと同じ問題は繰り返されるだろうし、本質的な意味での「対策」というのは浮かび上がってこないと思う。

でも、この先輩のことばの肝は、そこじゃないんだ。
忘れてはいけないのは、「三度考える」のはとてもタフな作業だ、ということ。
考えるのは、分かりたいからだ。でも、分かるまで考え続けるというのは、本当にしんどい作業だと思う。最後まで分からないかもしれない。分かったつもりになる方がずっと簡単だし、それに、分かった気にさせてくれるものは、至る所に転がっている。
例えば、慣習やルール。今までそうだった。ルール上そうなっている。こう言い切ってしまうことで、分かった気になってしまう。こういう態度は、会社組織にはとても多いよね。決してその先に踏み込んでいこうとしない。なぜ今までそうしてきたのか。その背景にはどういった目的があって、どういった風土が影響しているのか。そして、今後もその慣習を続けていくことは、本当に適切な態度なのか。そうやって問い進んでいくことをせずに、慣習やルールで片付けてしまうことが、どれほど多いだろう。

この言葉を教えてくれた先輩は、言ってた。「問い続けるのは、お客様の為だ」って。お客様にご迷惑をかける可能性のある問題が起こった時に、分かったつもりで終わってしまったら、本当の意味でのお客様への貢献など出来ない。そしてこの先輩は、さらにこう付け加えた。
「お客様が困るか、自分が困るか。自分が困るだけなら、大したことじゃない。」
つまり、情熱。
実際には、解決しない問題だってあるかもしれない。でも、根本まで踏み込んで問題を解決しようと努めなかったら、お客様に迷惑をかけることになる。お客様の為に、情熱を持って仕事しているからこそ、この先輩は三度考えるんだ。
そのことを目の当たりにして、本当にすごいと思ったよ。
ちょっと困っちゃうくらい話の長い先輩だけど、その情熱を、単純にすごいと思った。

"Three Questions"の先にあるのは、情熱。
本質をつかまえたいという強い意志と、問い続けるタフネス。
きっとそれこそが、「考える」ということなんだね。